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2018年の中国ECを盛り上げた「ソーシャルコマース」とは?(拼多多,蘑菇街,小紅書)

※自身がnoteに投稿した記事を転載しております。

2018年の中国ECを盛り上げた「ソーシャルコマース」とは?(拼多多,蘑菇街,小紅書)|ビントウ|note

 
ビントウ(@bing_tou)と申します。普段はECサイトのディレクターをしており、自身が中国滞在歴もあることから、中国のEC業界で起きている変化やトレンドを調査することが好きです。今回初となるnoteでは中国ECの新たなトレンド「ソーシャルコマース」についてご紹介したいと思います🇨🇳

 

中国のソーシャルコマース とは?
2018年は7月26日の拼多多(pinduoduo)NASDAQ上場に続き、12月12日の蘑菇街(mogujie)NASDAQ上場など、タオバオやシンドンと言った中国の代表的なECサイト以外にも「ソーシャルコマース」型に分類される新興ECサイトの名前を見かけることが多くなった1年でした。

「ソーシャルコマース」とはソーシャルメディアを利用したEコマースの略であり、中国語では「社交電商」と呼ばれています。

 

元々ECサイトでは商品を買うか買わないかの判断はユーザーに委ねられており、実店舗のように誰かが商品をレコメンドしてくれたり、実際に使った感想を知り合いから教えてもらったりするソーシャルの部分が欠けていました。「ソーシャルコマース 」にはこれらの部分を補完し、そのまま購入機会を提供するという特徴があります。

今回は2018年に上場を果たした「拼多多」「蘑菇街」に加え、中国ではこれらに並べて比較されることの多い「小紅書」を加えた3社の特徴、今後の展開について考察してみたいと思います。

 

1.【拼多多】 安さで勝負、3億人が使っている共同購入アプリ

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https://m.pinduoduo.com


2015年に元GoogleエンジニアHuang Zhengにより創業された「拼多多」(ピンドゥオドゥオ)は1つの商品を複数人で共同購入することで、より安く商品を提供するECです。

ユーザーは「WeChat」などのメッセンジャーアプリを通して欲しい商品のリンクを知人にシェアし、それを欲しいと思った知人は更に他の知人にシェアをしていき、目標人数に達成すると共同購入金額で購入が成立する仕組みです。

ゲームのような面白さと分かりやすさから、地方都市をはじめとした比較的所得の低い層を中心にユーザー数が増えていきました。

創業からわずか3年という短い期間でユーザー数は3億人を超え、タオバオ、ジンドンに次ぐ売上シェアを誇る中国第3位のECサイトとなり、2018年7月26日のアメリNASDAQに上場では時価総額3兆円を叩き出したことでも話題になっています。

予め購入数の予測が可能な拼多多の購入モデルは、商品供給側からすると工場の生産ラインを調整しやすく、大量生産に対応が可能で、商品の提供価格を低く抑えることができます。


ユーザーからすれば商品が安く手に入り、拼多多からすれば広告費をかけずに利用者が増えていき、供給者側は大量生産で利益を確保できるという、まさに最高の環境を構築した拼多多。

しかしながら商品の質がサービス成長スピードに追いついていないという負の側面もあり、商品品質の保証や改善が課題になっています。

しかし私は必ずしも全てのユーザーが「質」を望んでいるとは限らないと考えます。もちろん健康を害するような商品は販売されるべきではありませんが、「安かろう悪かろう」のイメージが強かったタオバオが品質向上に注力している今、「質はあと回しでいいから安いものが欲しい→拼多多で買う」という使い分けが起きているのは非常に興味深いです。

これまで中国ECは主に北京や上海のような大都市に居住するユーザーについて語られてきましたが「拼多多」の台頭により地方都市に居住するユーザーの実態が見えてきました。

「地方都市」の動向を追う上で、今後「拼多多」の存在は欠かせないと言えます。

 

2.【蘑菇街】欲しいファッションのコーデが見つかるアプリ

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https://www.mogujie.com/

2011年アリババ出身の陳琪により創業された「蘑菇街」(モグジエ)はファッションに特化したECサイトで、日々多くのインフルエンサーやユーザーによるコーデ投稿が更新されています。日本でいうとZOZOTOWNが提供する「WEAR」に近いサービスで、中国の女性が今どんなファッションに興味を持っているかを垣間見ることができます。

蘑菇街は創業当初、タオバオ商品のアフィリエイトサイトとして収益を得ていました。しかし次第に規模が大きくなり、ピーク時にはタオバオの全訪問数の10パーセント近くを蘑菇街のアフィリエイト経由が占めるようになってしまいます。これを受けたアリババは2013年に大きくなりすぎたアフィリエイトサイトを規制します。

これにより一気に収入源を失った蘑菇街は、自身のサービス内容を女性のファッション特化型SNSに集中することを決めます。2016年にはライバル関係であった「美麗説」らと合併し、美麗集団として生まれ変わりました。

「蘑菇街」はライブ配信元年と言われた2016年にいち早くライブ配信での商品販売(ライブコマース)に乗り入れ、2018年11月には杭州にMOGUSTUDIOという実店舗を出店するなど、誰よりも真摯に女性消費の先端を追い続けてます。


「蘑菇街」を覗けば、中国のファッションに対する先入観のようなものがかなり変わると思います。多様化する中国のリアルなファッションの先端や、女性消費の変化をキャッチするには「蘑菇街」が一つの指標になるでしょう。

 

3.【小紅書】「生活にタグ付け」がコンセプトのクチコミアプリ

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https://www.xiaohongshu.com/

2013年に創業された「小紅書」(シャオホンシュー、以下RED)は、ユーザー数1億5,000万人を超える衣食住すべての日常生活にまつわる口コミ投稿型のSNSであり、EC機能も備えています。

同じ発音をもじった小紅薯(さつまいも)と呼ばれるユーザーたちは、口コミを記載した「ノート」を投稿していきます。「生活にタグ付けしよう」というREDのコンセプトにあるように、 生活をフォトジェニックに残し、ユーザーの購買欲求を刺激する点において、Instagram+Shop Nowの図式に似ています。

元々REDは「世界中の良いモノが見つかる」をメインコンセプトにしており、今も海外の商品に影響力を持つプラットフォームの一つです。
ユーザーから投稿される口コミは国内に限らず、世界中のコト・モノが対象であるため、REDはこれらの口コミを元に効率的に海外の商品を仕入れ、自身の保税庫から商品を出荷しています。

影響力を持つユーザーの中には「広告ノート」と呼ばれる広告記事を投稿し、依頼元企業からの収入を得ているユーザーもいます。(※広告であることがわかるようハッシュタグを付けるなどのルールあり)

越境ECと言うと天猫国際や京東全球購のようなユーザー層や商材の広いプラットフォームが頭に浮かびやすいですが、REDのようにユーザーの投稿がダイレクトに購買につながるようなプラットフォームは「いかにノートを投稿してもらうか」「広告ノートの依頼を出すべきか」などの細やかな戦略が立てやすいと言えます。

 

まとめ

モノを買う機能としてのECは、ソーシャルというフィルターを通して購入を判断する機能を持ちはじめ、次第に一般的となってきました。

上記の3サービスを見ると、一言で「ソーシャルコマース」に分類されるサービスたちも、それぞれ独自の分岐や成長をしていることが分かります。

数字だけではないユーザー属性などを深掘りすると中国に暮らす人たちのリアルな消費活動を知る手がかりにもなりますので、引き続き、2019年も動向を追いたいと思います。

 

補足が必要な部分や、他に知りたい内容やご意見がございましたら、お気軽にコメントを頂けますと幸いです。

ビントウ (@bing_tou) | Twitter

 

※参考記事
https://m.pedaily.cn/news/435059
https://m.lieyunwang.com/archives/449822
https://zhuanlan.zhihu.com/p/35566415